気密コラム

気密測定のn値の基準解釈ガイド

家の「気密性能」は、住宅の快適性や省エネ性能に大きく関わる要素です。気密測定というとC値の値が注目されがちですがが、気密測定業者にとっては「n値」の結果もとても重要です。しかし、家づくりにおいて、このn値がどこか理解しづらいと感じる工務店や現場の職人も多いかもしれません。この記事では、気密測定の概要と「n値」の定義、n値の基準や解釈について詳しく解説します。

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気密測定の概略

気密測定は、住宅の隙間がどこにあり、それが大きいか小さいかを数値で可視化するための検査です。測定には送風機を用いて室内を減圧(あるいは加圧)し、その際に生じる室内外差圧と隙間からの通気量の計測値を元に気密性能を数値化します。

気密性の高い住宅は、外気の影響を受けにくく、冷暖房の効率を向上させるため、年間の光熱費を削減できます。また、隙間風の侵入を防ぐことで、室内環境の快適性も大きく向上します。特に寒冷地や高温多湿の地域では、気密性能が断熱性能と同じくらい生活の質に直結するため、その重要性は一層高まります。詳しくは次のコラムでも解説しています。

n値の定義とは

「n値」とは隙間特性値とも呼ばれ、これは隙間を流れる空気(すきま風)の性質を判断する際に用いる数値です。

この「n値」は1~2の間で推移し、n=1の場合には層流域(1つ1つのすきまが微細な管状となっている)n=2の場合には流れが乱流域(大きな開口があいている)であることを示します。そのため、n値が1に近ければ近いほどその住宅の総隙間面積は細かく小さな隙間が集合した値であるということができます。

逆に気密測定した際にこの隙間特性値が2に近ければ、原因としては①どこか気密層に穴があいており、手直しすることで気密改善の余地がある、②目張りできていない場所がある、のどちらかであると判断できます。

またn値は1~2の範囲をはみ出すことがないため、正しく測定が出来ているかの判断材料のひとつの指標にもなります。

n値が1~2の範囲外になった場合は、測定中に突風が発生した、あるいは測定途中に目張りが外れたなどの理由から通気量・圧力差の計測値が異常値となっている可能性がありますので、測定状況を確認し再測定する必要があります。

n値が2に近い時の対策

n値が2に近い値を示した場合、先ずは目張りや窓・ドアの施錠に問題がないかを確認しましょう。特に減圧方式で換気口を内側から目張りをしている場合は、気密測定の回数を重ねるごとに目張りが内側か少しずつ引っ張られ、触ってみると目張りがはがれているという可能性があります。

目張りに問題がない場合は気密施工が十分でない箇所があることが考えられます。改善するポイントとしては窓・ドア枠の隙間や配管・配線回りの処理、床と壁・壁と天井の取り合い部分の気密処理がきちんとできているかを確認しましょう。

気密測定には欠かせないn値

以上のように、気密測定によって得られる「n値」は、住宅の気密性能を評価するための重要な指標です。n値を理解することで、気密測定が正しくできているか、気密の改善の余地があるのかを判断することが出来ます。今回のコラムを参考に、是非今後の気密測定に役立ててください。(2024/10/30)

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