取扱説明

気密測定における実質延べ床面積の計算方法

はじめに

建物の気密測定において「実質延べ床面積」を正確に計算することは、測定精度を高め、信頼性のある気密性能を得るために不可欠です。しかし、建物の延べ床面積の計算は、特に初めての方には難しいと感じられることも多いでしょう。本ガイドでは、初心者にもわかりやすく実質延べ床面積の計算方法を解説し、気密測定の現場で役立つ知識をお伝えします。

実質延べ床面積とは

実質延べ床面積とは、気密測定で必要な空間の延べ床面積のことで、気密性を評価するために対象となる部分を正確に把握した面積です。そのため、一般的には建築上の延べ床面積よりも大きくなる傾向があります。(つまり、建築上の延べ床面積のみですとC値の値は大きく算出される)この面積の算出は、正確な気密測定を行う上での重要な要素です。気密測定の際に延べ床面積が正しくないと、算出される気密性能の値が変わってきてしまうため注意が必要です。

気密測定における実質延べ床面積の計算手順

計算範囲の確認

まず、気密測定の対象範囲を確認します。住宅の場合、計算に含めるのは一般的に外皮の室内側(気密層の内側)となりますので、どこまでが室内側でどこからが室外側になるのかを判断する必要があります。次の場合は外皮の室外側として扱うので注意が必要です。

  • 屋根断熱・基礎断熱をしている場合でも屋根・床下空間へ通じる出入口、点検口がない場合
  • 天井断熱の小屋裏(点検口の有無に関わらず)
  • 気密層の外側にあるサンルーム、ベランダ、物置など
  • 開口部が全くない地下室部分(ドライエリア・開口部があれば含める)
  • 車庫

仮想床面積の計算

建築上の延べ床面積から先に確認した気密測定の対象外範囲を引いた後、次の空間があれば仮想床面積に変換して加算していきます。

階段や吹き抜け階段や吹き抜け空間は天井下面から2.1m以上の部分はそのまま仮想床面積として加算します。
出窓外壁から50cm以上の出窓はその部分の仮想床面積を算出します。
屋根断熱や基礎断熱の小屋裏空間や床下空間小屋裏に通じる出入り口、床下に通じる点検口があればこの空間の気積を求めて2.6m(仮想天井高)で除して仮想床面積を算出します。
不規則な吹き抜け空間がある仮想天井高を2.6mとしてそれ以上の空間の気積を求めてそれを2.6mで除した仮想床面積を算出します。

実質延べ床面積の算出

外皮内の建築上の延べ床面積に先に計算した仮想床面積を全て足した値が実質延べ床面積となります。

建物外皮内の気積から求める方法

今までは建築上の延べ床面積をベースとして仮想床面積を加算する方法でしたが、もし建物外皮内の気積が予め分かっているのであれば、その気積を仮想天井高2.6mで除して実質延べ床面積を求める方法があります。(ただし階間の天井懐の気積は除く必要がある)

まとめと測定のポイント

気密測定の正確な結果を得るためには、実質延べ床面積が重要で、対象範囲の確認、仮想床面積の算出は大きなポイントとなります。C値は総相当隙間面積αAを実質延べ床面積で除した値となるので、実質延べ床面積の値が変わるとC値の結果にも影響が出てきます。気密測定を実施する際は測定対象の外皮内の状況をよく確認し、対象となる面積を正しく把握することを心がけましょう。

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