気密コラム

住宅の気密測定器について

2025年から、省エネ基準法が改正され、工務店などの住宅供給者は断熱等級4以上の家づくりが義務化されることが発表されました。また、国土交通省は2030年には全棟新築のゼロエネルギー住宅(ZEH)を目指すと宣言しており、建築物のエネルギー効率を向上させる取り組みが加速されています。このような背景から、建物の断熱レベルが高まるにつれて、断熱と密接な関係のある気密性能もますます重要視されています。事実、あらかじめ気密についての情報を勉強されているお施主様も年々増えています。では、そもそも住宅の気密測定器とは何なのか、その原理や意義、求められる性能について概要を説明していきます。

そもそも住宅の気密測定器とは何か?

住宅の気密測定器とは、建物の性能を表す指標のひとつ「気密性能」を評価するためのものです。大きく分けて、①送風機 ②圧力計などのセンサー ③コンピュータの3つのパーツから構成されます。建物の外壁や窓、ドアなどの構造部位からの空気漏れを検出し、その漏れを数値化して建物の気密性を評価します。これにより、気密という観点から建物のエネルギー効率や居住者の快適性がどの程度かを把握することができます。

気密測定の原理

気密測定器は、一般的にファンや圧力計などのセンサーを使用して気密性能を測定します。測定作業では、建物内外の圧力差を生じさせ、その差によって空気漏れの程度を測定します。例えば減圧方式の場合、建物内部を送風機によって一時的に負圧にすることで、外気がすき間を通じて建物内に流れ込みます。これを検出することで、よく報告書に記載されているC値(相当隙間面積)やαA(総隙間面積)といった数値を算出します。

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住宅の気密を測定する意味とは

住宅の気密性を評価することは、居住者の快適性や省エネを実現するために重要です。気密性の低い建物では、冷暖房効率が低下し電気代が高くなったり、換気による空気の循環が設計通りいかない恐れがあります。また、気密性が低いと、夏場や冬場にすきまから流入した外気が原因で、居住空間に温度差が発生し、快適性が損なわれたり睡眠が妨げられるといった影響が懸念されます。

気密測定器に求められるものとは?

気密測定器には、以下の3つの要素が求められます。

① 持ち運びのしやすさ

気密測定の試験は様々な現場で行われるため、より軽量化されたコンパクトな気密測定器が求められます。

② 取り扱いのしやすさ

誰でも操作が簡単で使いやすいインターフェースや、測定結果を正確かつ迅速に表示する機能が重要です。また、機械の設置をいかに簡略化・小型化を実現するかというのもポイントとなります。

③ コストパフォーマンス

性能と価格のバランスが良く、長期間にわたって信頼性の高い測定を行えることが求められます。

住宅の気密測定器の種類

現在、国内の製品は設置方法により以下の3タイプあります。

① バズーカ型:現地でパーツを組み立てて窓などの開口部に直接設置するタイプ。

メリット:その場で結果をレシートで出力できる。送風機の風量が強く住宅の対応幅が広い。

デメリット:重いため持ち運びや一人での設置が大変(特に腰窓)。

② ビニルダクト型:送風機と窓などの開口部をビニルダクトで接続するタイプ。

メリット:ビニルダクトのため送風機を床置きできる。腰窓でも落下や転落の心配がない。

デメリット:ビニルダクト設置時も、開口部の気密の処理は屋外側からもテープでする必要がある。(バズーカ型も同様)

③ レンジフード型:送風機を窓に設置する代わりにレンジフードに接続するタイプ。

メリット:レンジフードに接続するので開口部の気密処理が不要。設置が簡単で早く、リーズナブル。

デメリット:レンジフードが送風機代わりのため、測定する住宅はある程度気密がとれている必要がある。

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