気密測定の費用はどのくらいかかるのか?
目次
気密測定とは?
気密測定とは、建物の外壁や窓、ドアなどからの空気漏れを数値化し、住宅の気密性を確認するための重要なプロセスです。相当隙間面積C値という値で、その家の気密性能が高いか低いかを判断します。この結果、住宅のエネルギー効率や快適さに直結するため、多くの建築業者が採用しています。近年、施主から「自社の気密性能」についての質問が増え、特に工務店やビルダーにとって対応が重要なポイントとなっています。
なぜ気密測定が重要なのか?
気密性能が高い住宅は、外気の影響を受けにくく、冷暖房効率が向上します。その結果、光熱費の削減が可能となり、暮らしの質も向上します。逆に気密性能が低い場合、断熱性能を高めても外気が流入し、快適性や省エネ効果が失われてしまいます。これにより、気密性能と断熱性能はセットで考える必要があります。また、気密性能を高めることで湿気の侵入や結露を防ぎ、建物の耐久性も向上させる結果となります。特に、高性能住宅や省エネ住宅では、気密測定は必要不可欠な工程です。
気密測定のメリット3選
①健康で快適な室内環境の実現
断熱と気密がしっかりした住宅は、快適な暮らしを提供するだけでなく、冬場のヒートショックや脳卒中や脂質異常などの健康リスクを軽減する効果があります。
②冷暖房費の削減
き間が少ない家では、冷暖房効率が高まり、月々の電気代を削減できます。これは長期的な節約につながる重要なポイントです。
③建物の耐久性向上
気密性能が高い家は湿気の侵入を防ぎ、壁内部での結露リスクを低減します。これにより、建物の寿命を延ばすことができます。
気密測定のコスト
気密測定を外注する場合、1回あたりの費用は平均で7~10万円程度です。しかし、これは初期コストにすぎません。測定後に得られるデータを元に改善を行うことで、建物の耐久性向上や冷暖房費の削減が期待でき、結果的に高い費用対効果が得られることが特徴です。また、リフォーム時にも気密測定を行うことで、性能の確認と改善がスムーズに行えます。
測定タイミングは中間測定と完成時の2回
気密測定のタイミングは、工事の中間時と完成時の2回行うのが理想的です。中間測定は手直しが可能なタイミングであり、完成時は実際に住むときと同条件での気密性能を把握することができます。
しかし、費用や工数を考慮し、どちらか1回のみを実施するケースも多く見られます。測定の流れや具体的な概要については、別記事で詳しく解説しています。
気密測定を活用して他社と差別化
まだ気密測定を導入していない工務店にとっては、気密測定にかかる手間や費用が懸念材料になるかもしれません。しかし、施主からの信頼を得るためには、気密測定による「品質証明」はひとつの有効な手段といえます。自社で建てた住宅の気密性能を丁寧に説明できることが顧客に対して大きな安心感に繋がります。
また、気密測定を重ねることにより隙間のできやすい場所がどこなのか勘所を養うことができ、施工段階で気密性の高い方法を取り入れることが出来るようになります。そうすることで中間測定時の修正を最小限にすることが可能となります。
工務店として、住宅を建築している中で、特に施主からの気密についての質問が増えている今、自社の住宅が他の大手ハウスメーカーと比べても引けを取らないことを証明するのに、気密測定はひとつの重要なポイントとなります。
棟数の多いビルダーは気密測定器導入も視野
年間で多くの住宅を建築するビルダーにとって、気密測定を外注するよりも、内製化する方がコスト削減につながります。気密測定器の導入は初期投資として高額ですが、全棟で標準化することで、長期的には大きなメリットが得られる方法です。気密性能が高い住宅は、施主の満足度が高く、口コミや紹介による新規顧客の獲得にもつながります。
気密測定器導入を検討されている方はこちらのページもご覧ください。
気密測定のデメリット
初期コストや大工さんや職人さんの手間がかかる点、施工をやり直す場合は工期がのびる点は、気密測定のデメリットとして挙げられますが、これを上回る費用対効果が期待できるため、長期的に見て全体としては利益の大きい投資となります。
もう一つ気密測定のポイントは安易にC値は保証できないということです。住宅の気密性能を高めるためには現場監督や大工、その他関係業者の努力や構造・開口部の設計の工夫など様々な要素が絡みます。C値を保証してしまうと値が出なかった際に大きなトラブルになりかねません。気密測定のC値はあくまで目標値・目安として認識することが重要となります。
まとめ
気密測定は、長期的に見れば高い費用対効果を持つ重要な工程です。工務店やビルダーが自社の住宅の気密性能を把握し、施工現場での改善を繰り返すことで、顧客からの信頼を得ることができます。リフォームや新築、どちらのプロジェクトでも、気密測定を活用して品質向上を目指すことが今後重要となっていくでしょう。(2024/09/25 最終更新日)